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旧犬飼呉服店〔2棟〕
(読み方)きゅういぬかいごふくてん(てんぽけんおもや、どぞう)
店舗兼主屋
土蔵
- 指定等区分 登録有形文化財
- 登録年月日 令和6年(2024)12月3日
- 種別 建造物
- 所在地 大手4丁目1244番地イ
- 所有者 (株)Y建築設計
- 時代区分 明治時代・昭和時代
善光寺街道の角地に建つ石造風外観の町家
旧犬飼呉服店は、善光寺道(北国脇往還)沿いの松本城下町の東町に位置し、本物件の所在地は明治19年の大火に見舞われている。旧犬飼呉服店は、小売業(呉服店)を営んだ商家、犬飼家の店舗併用住宅であり、明治33年に犬飼守弥氏が開業したと伝わる。主屋を構えたのは、昭和前期以前、土蔵は、守弥氏が土地取得以前の明治6年に建てられたものである。その後、昭和中期には事業拡大に伴い、松本城の南側に位置する六九通りに移転して次代へ引き継がれ、本物件は住居、主屋1階正面側は貸店舗となった。令和4年には、既に使われていなかった本物件を、現在の所有者が取得、令和5年に改修して、現在は飲食店として活用されている。
店舗兼主屋
木造2階建ての切妻造瓦葺で、平入である。間口約3間×奥行7.25間の規模で、西側正面と東側に半間の下屋をもつ。東面北側から渡り廊下を介して便所と接続する。内部は東側を半間幅の通り土間、西側を店舗とする。2階は座敷が3室並び、小屋組は和小屋である。外部は、北面・東面を漆喰塗仕上げ、西側正面外壁を細石洗出し仕上げとして石造風にみせており、当時の流行の石造風の意匠を伝えている。
土蔵
木造2階建ての切妻造瓦葺一部銅板葺で、妻入である。外部は漆喰塗仕上げ、腰を海鼠壁とする。正面1階入口と2階窓には、重厚な観音扉と銅板葺きの庇がつく。梁の墨書によると、建築年は明治6年で、建築主は木村宇兵衛清信、棟梁は萩原助太郎義輔である。棟梁の萩原助太郎義輔は、国宝旧開智学校の棟梁立石清重率いる大工設計集団の中に名前を見つけることができ、大工だけでなく設計業務にも関わっていた記述が残されている。墨書の建築年から、明治19年の大火で焼け残ったと考えられる。