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白骨温泉の噴湯丘と球状石灰石

更新日:2024年4月18日更新 印刷ページ表示

白骨温泉の噴湯丘と球状石灰石の魅力

 観察路などの整備を進めてきた「特別天然記念物白骨温泉の噴湯丘と球状石灰石」。これらがどのようなものか?またその背景にあるストーリとは?白骨温泉のお湯にも密接に関わる文化財です。知っていただくことで、また違った視点で白骨温泉を楽しめるはずです。

 

噴湯丘と球状石灰石とは?

森の中にボコボコと…“噴湯丘(ふんとうきゅう)”

 白骨温泉では、一歩森の中に入ると、ボコボコとした変わった地形が広がっています。

 このボコボコ地形の正体が『噴湯丘』です。温泉水中に含まれる炭酸カルシウムが、温泉の湧き出し口(写真にあるような穴)の周りに沈殿し、堆積してこんもりとした形になったものです。

 噴湯丘は全国的にも珍しいですが、白骨温泉では数多くの噴湯丘がまとまって残っています。いずれも過去にできたもので現在は活動していませんが、その特徴的な形やそれらが織りなす風景は、目を引くものがあります。

噴湯丘 

お湯が噴出した痕跡「噴湯丘」

噴湯丘のメカニズム

噴湯丘が生成されるメカニズム

 

白くて丸いふしぎな石“球状石灰石(きゅうじょうせっかいせき)”

噴湯丘と並んで特別天然記念物に指定されている球状石灰石。温泉成分(炭酸カルシウム)が石粒などの周りに固結することによってできた、白くて丸い石のことをいいます。コロコロとした単独のものもあれば、多数の粒がくっついた集合体もあります。

【でき方】

温泉が流れている場所で

1 温泉水中の炭酸カルシウムが固まって湯のたまり場(湯だまり)ができる

2 湯だまりの中で小さな石粒などがくるくると回転し浮遊する

3 石粒の周りに炭酸カルシウムが固結し、回転しながら球状に成長していく

 いろいろな条件が整って初めて作られるものですので、現在は自然に見ることはなかなかできません。噴湯丘と同様、炭酸カルシウムを豊富に含む温泉が湧く白骨温泉だからこそできるものです。

球状石灰石のメカニズム

球状石灰石のできるメカニズム

球状石灰石

球状石灰石(集合体)

球状石灰石2

球状石灰石(単体)

 

球状石灰石の中はどうなっている??

 白くて丸い石“球状石灰石”そのでき方をひも解くカギは球状石灰石の内部の構造にあります。球状石灰石を半分に切ってみると、中心には小さな石、その周りに、炭酸カルシウムがきれいな縞模様に固まった同心円状の構造が確認できます。これは、お湯の中でコロコロ回転しながらだんだんと成長していったことを示しています。

 ※ 球状石灰石の採取や加工は関係法令の許可を得て行っています。

球状石灰石の断面

球状石灰石の断面。内部の石を中心に炭酸カルシウムが取り巻いています。

 

噴湯丘も球状石灰石も『石灰華(せっかいか)』

 噴湯丘も球状石灰石も、温泉水中の炭酸カルシウムが沈殿して固まっていくことでできるものですが、この「温泉水中の炭酸カルシウムが沈殿し固まっていくことででき」た岩石を『石灰華』と言います。白骨温泉一帯ではこの石灰華が厚く、広く分布していて、そこかしこで見ることができます。噴湯丘も球状石灰石も、この石灰華が特殊な形をなしたものなのです。

林道沿いの噴湯丘

林道からも見られる石灰華

 

白骨温泉の石灰華の堆積量は日本最大級!

 白骨温泉の石灰華の堆積厚は最大30mに及びます。分布面積は14.7ha(東京ドーム3個分)と広大で、その規模は日本最大級です。調査により約8000年前以降に石灰華が堆積したということがわかっています。

 これほどの石灰華の堆積をもたらした湯量は相当なものであり、現代とはかなり違った風景であったことが想像されます。

大規模な石灰華

層状に堆積する石灰華

 

探してみよう!いろんな石灰華

 白骨温泉に日本最大級で分布する石灰華。地域内では、至るところで石灰華をみることができます。趣のある白い石は、建物基礎などの石張りの材料としても使われ、白骨温泉の雰囲気に一役買っています。

 石灰華にも、できるときの条件の違いによって色々な姿があります。よく探すと、「木の葉石」と呼ばれる、葉っぱの化石も見つけることができるんです。そんな一風変わった石灰華を探しながらまちあるきをしてみるのも面白いかもしれません。

 ※特別天然記念物の指定地内では、石灰華や石灰岩などを許可なく持ち出すことは禁止されています。

木の葉石灰華

木の葉石

層状の石灰華

層状に堆積した石灰華

建物の基礎

建物の基礎にも石灰華が

 

白骨温泉のお湯の謎に迫る

白骨温泉のお湯はなぜ白い??

 白骨温泉の最大の特徴である「白いお湯」。噴湯丘も球状石灰石もこの「白いお湯」がないとつくられません。この白さの正体は「炭酸カルシウム」であり、これを豊富に含んだお湯が湧きだすには次のような条件が必要です。

1 地下水を温める熱源がある(火山活動による地熱など)

 →【お湯ができる】

2 石灰岩の中の炭酸カルシウムがお湯に溶け込む

 →【お湯が白くなる要因】

3 断層破砕帯(断層運動でガサガサになり水を通しやすくなった地層)がある

 →【お湯が湧き出す】

 これらの条件が奇跡的にそろったことで、白骨温泉のお湯は白くなっているのです。

ちなみに、ほど近い乗鞍高原温泉の地下には石灰岩がありません。一見同じ白いお湯ですが、これは硫黄成分によるものなのです。

 

お湯が白いメカニズム

お湯が白くなるメカニズム

 

湧出直後のお湯は白くない??

 下の写真を見てお気づきでしょうか?

 

 湯舟では白くなったお湯が印象的ですが、お風呂や飲泉所の湧き出し口をよく見てみると、実はお湯の色は透明です。実は湧き出した直後のお湯はまだ白くないのです。

 地下の高い圧力下ではしっかりと水に溶け込んでいた炭酸カルシウムですが、地表に出て圧力が下がると水に溶けず細かな粒子となってお湯に浮遊します。これによってお湯が白く見えるのです。そしてその粒子が段々と沈殿して個体となって堆積していくのです。

飲泉所

飲泉所(お湯は透明です)

浴槽

白骨温泉の浴槽

 

白いお湯の由来は“熱帯のサンゴ礁”!?

 お湯に“白さ”をもたらすのは炭酸カルシウムを豊富に含んだ『石灰岩』です。石灰岩とは、サンゴ礁や貝殻など炭酸カルシウムからなる生物の遺骸が堆積して固まった岩石です。

 なんと白骨温泉の石灰岩からもサンゴの化石などが見つかっています。元をたどれば熱帯のサンゴ礁が、2億数千万年という長い時間をかけて、地球の表面を覆うプレートの移動と大地の隆起によって、白骨温泉までやってきたのです。

由来

白骨温泉の石灰岩は海からはるばる海洋プレートに乗って運ばれてきました

 

保存活用計画の策定

 いくつもの奇跡的な現象が重なって構成された白骨温泉の噴湯丘と球状石灰石ですが、国の天然記念物には大正11年に指定されています。特に重小屋原地区と小梨平地区の噴湯丘と球状石灰石が希少でその学術的価値が評価されています。

 これまで旧安曇村や地区の方々が中心となって保存や活用の取り組まみがされてきましたが、整備の困難さから散策路や案内板の老朽化等をはじめ、指定から100年が経過して噴湯丘周辺の樹林化も進み、その価値が伝わりづらくなってきていました。

 このため、この天然記念物の整備を計画的に進めることを目的として保存活用計画を策定し、指定の範囲を明確化するとともに、今後の保存や活用、整備のあり方を示すこととしました。

保存活用計画はこちらからご覧いただけます。

指定範囲

保存活用計画で文化財指定する範囲が確定しました

 

整備された噴湯丘の観察デッキ

 保存・活用整備の一環として、白骨温泉の噴湯丘が観察できるよう、令和5年に観察デッキや観察路を整備しました。観察デッキからは噴湯丘や噴出を間近で見ることができます。白骨温泉を訪れた際には、ぜひ一度お立ち寄りください!

観察デッキ

観察デッキ遠望

デッキからの眺望

観察デッキからの眺望

 

さらに詳しく白骨温泉の解説動画がご覧いただけます。下のバナーをクリックください。

動画バナー<外部リンク>

白骨温泉天然記念物のリーフレット [PDFファイル/2.98MB]

詳しく知りたい方はこちら

 

 

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